
先日、10月27日にニュースが入ってきました。
フィンテック企業のJPYCは、円建てのステーブルコインを発行すると発表がありました。
ついに国内初、円建てのステーブルコインが誕生します。
ステーブルコインとは以前に書いたブログの通り。
実際の法定通貨通りの値動きをする仮想通貨です。
ビットコインはもともと国に頼らず電子上で決済をできて、
さらにブロックチェーンの技術を使って偽造ができないような仕組みになる、
政府に頼らないで存在する通貨として作られました。
しかし、今や既に投機対象。
金と同じようにどんどん値上がりして、
投資家が金を稼ぐために購入されるものになっています。
そのため、毎日の値動きが激しく、とても通貨として使える状態ではありませんでした。
しかし、そんな状況からステーブルコインというものが登場し、
普通の通貨と同等の価値を担保してくれるものとなり、
使い勝手が非常に向上しました。
日本円とステーブルコイン。何が違うの?
それでは、日本円とステーブルコインって何が違うの?
今でも銀行に日本円を預けて、ネットバンキングで送金することで、
リアルマネーを受け渡しせずにやり取りができます。
でも、表面的にはそう見えても実際には決定的に違うものがあります。
それは送金というシステム。
「記帳」と「決済」というものがあります。
本来従来のお金の動きというものを表す時は、この2つがあって初めてお金が動いたというふうになります。
ネットバンキングなどで振込をされると、
表面上はお金がうごいたように見えるのですが、
実際はお金自体はA銀行からB銀行に瞬間移動したわけではありません。
あくまでA銀行からB銀行へお金の移動が行われましたよーという「記帳」が行われ、
その後決済されて初めてお金が移動します。
みなさんがよく使うクレジットカードなども同じですね。
クレジットカードを使ったタイミングでは、まだ「記帳」の段階です。
カード決済をした瞬間にみなさんの口座からお金が引き落とされるというわけではありません。
これがどうしても現実の通貨となるとリアルタイムに移動することが不可能で、
帳簿だけ先につけておいて、あとから本物の現金を移動させて決済する、という方法が取られています。
それがステーブルコインになるとどうなるでしょう?
円は現実の通貨なので、物理的に移動する事が必要になりますが、
ステーブルコインは現物がないデジタル上の仮想通貨です。
そのためデータとして簡単に転送ができるようになります。
この「転送する」というところがポイントとなりまして、
お金を「記帳」と「決済」に分けるのではなく、
いきなり「決済」で送ることができるようになる、というのがステーブルコインの強みになります。
そもそも物理的紙幣硬貨が存在しないデータだけの存在なので、
記帳と決済がセットになっているという事ですね。
これが何にいいかというのは、特に企業で使用される面で非常に都合よく働きます。
世の中の企業は銀行振込に「末締め翌月払い」などの支払いサイトで支払いを行っています。
つまり、モノを売っても翌月まで入金がされないという事。
飲食店などをやっている方からすると、一般顧客からクレジットカードで決済された時なども同じような形になりますね。
あくまでその日はデータ上で「記帳」がつくだけ。
あとでクレジットカード会社からまとまったお金が振込される事になります。
この「記帳」から「決済」のズレ、場合によっては非常にシビアになります。
材料代や人件費など、経費は確実にすぐ払わなければならない一方、
振込されるお金は1ヶ月や、時には3ヶ月先まで振り込まれない、なんてこともザラ。
売上があるのに入金がされず、運転資金が尽きてしまって倒産する事になってしまう事も…という危険もあります。
そういった時にステーブルコインで支払いをすれば、全て解決。
お金を支払って貰えれば、現実の通貨とおなじようにすぐにリアルタイムに入金されます。
この支払いサイトを最小限に抑える事ができるという面で、企業側で有利に働きます。
送金がとても便利に。
もう1つは国内ではあまり想定されていませんが特に海外での出来事。
日本企業をはじめ、大企業では世界中に展開しているグローバル企業も多く存在しています。
それらの世界各国に点在している企業へお金を送金する時、
海外送金の手数料というのが馬鹿になりません。
通常送金価格の5%から、大きいときには10%以上の手数料がかかることがあります。
これが一般消費者ならまだいいのですが、BtoB企業で大きな設備を納入する際には、大きな損失になってきます。
例えば1億円のモノを売った時に銀行振込したら1000万円余計に手数料を払わなければならない…という結果になることも…
(さらにスプレッドと呼ばれる、日々動く為替のレートのための費用も徴収されます)
これがステーブルコインになれば、送金手数料は1円以下で済む場合もあり、
手数料の金額分コストを抑えることができます。
1000万円かかってたものが1円で送れるようになるってすごいですね!!
現状での発表があるのは三菱商事。
三菱関連企業でステーブルコインを使い、社内外の送金にステーブルコインを使う予定が既に立っているのだとか。
三菱は旧財閥系の企業の中でも特に金融と商事、つまりお金とモノの流れがグループの中心を担っているので、
このような大胆な決断ができたんでしょうね。
まとめ
このように、日本円とJPYCとの違いを説明して、
何がすごいのか?を簡単にまとめて見ましたが、
正直仮想通貨は私も勉強中な部分が多いので、
まだまだ知識をつけないとなと思っています。
最近は投機対象としてしかほとんど目を向けられていなかった仮想通貨ですが、
かつて私が仮想通貨の本来の目的として使われるように、
イーサリアムを大量に購入して実際にNFTの販売やその他の送金などで使っていたように、
今度はJPYCが日本を代表する仮想通貨として使われていったら嬉しいなと思います。
余談ですが、大阪・関西万博で使用された「ミャクペ」という電子決済サービスが使えた「EXPO2025デジタルウォレット」のアプリ。
これをバージョンアップして「Hashport Wallet」へと名前を変え、
こちらでJPYCの取扱が可能なデジタルウォレットとして使用することが決まっています。
もしEXPO2025デジタルウォレットをお持ちの方は、
消さずにそのまま残して、Hashport Walletを使ってみてはいかがでしょうか?