2026年2月28日、世界に衝撃が走りました。
アメリカとイスラエルが、イランに対して大規模な軍事攻撃を開始したのです。
この作戦のコードネームは
「獅子の雄たけび」
「エピック・フューリー(壮絶な怒り)作戦」
「ユダの盾作戦」
と呼ばれています。
この奇襲攻撃によって、イランの最高指導者であるハメネイ師が死亡。
イランの最高指導者は息子のモジタバ師が引き継ぎ、中東情勢は一気に緊迫化しました。
イランはただちに報復に転じ、湾岸諸国の米軍基地だけでなく石油施設や民間インフラへの攻撃まで行っています。
そして、世界の石油輸送の要衝であるホルムズ海峡が、事実上封鎖されました。
世界の投資家たちは震え上がりました。
原油価格がどんどん急騰し、株式市場は下落が止まらない。
「一体どこまで悪くなるんだ」という恐怖が、マーケット全体を覆っています。
そんな投資家たちの恐怖心を、数値として表したものがあります。
それが今回解説する「恐怖指数(VIX)」です。
恐怖指数とは何か——数字で見る投資家の心理
恐怖指数とは、一言でいうと「投資家がどれだけ怖がっているかを表す数字」です。
正式名称はVIX指数(ボラティリティ・インデックス)といい、アメリカのシカゴ・オプション取引所が算出しています。
S&P500という米国の主要500銘柄の株価指数を対象に、今後30日間でどれくらい株価が動くかを予測した数値です。
もう少し簡単に言うと、「これからどのくらい株価が荒れると思っているか」を数字に表したものです。
数値の目安はこうなっています。
通常時は10〜20の間を推移していて、市場が落ち着いている状態。
それが20を超えると警戒感が強まっているサイン。
さらに30を超えると投資家が本格的に不安を感じ始めている局面で、40を超えるといよいよ市場がパニックに近い状態と判断されます。
目安の数字を見ていきましょう。
過去に恐怖指数が爆発的に跳ね上がった局面を振り返ると、2008年のリーマンショック時にはなんと90という驚異的な数値を記録しました。
世界的な金融危機で株価が大暴落したあの局面です。
2020年のコロナショック時も約85まで上昇しています。
今の恐怖指数はどのくらいか——過去の暴落と比較してみると
では、現在の恐怖指数はどうなっているのでしょうか。
直近(2026年4月1日)のVIXは25.25という数値を示しています。
ここ数日は落ち着いてきた印象もあります。
ただし、この数字だけを見て安心するのは少し早いかもしれません。
今年に入ってからの動きを振り返ると、3月9日にはザラバ(取引中の一時的な数値)で35.30まで上昇しました。
さらに遡れば、2025年4月のトランプ関税ショック時には52.33という高水準をつけています。
その時の背景は、米国が世界各国に対して追加関税を発動し、貿易戦争が現実になるかもしれないという不安が爆発したものでした。
今回のイラン軍事衝突が始まった直後、VIXは急騰し株式市場が大きく揺れました。
S&P500は3月末時点で5週連続下落という、過去4年で最長の記録を更新しています。
整理すると、現在の25前後という数値は「警戒ゾーン」です。
平常時よりは高く、パニック状態よりは低い。
リーマンショックやコロナショックほどの極端な恐怖ではありませんが、それでも市場の不安が無視できない水準にあることは確かです。
なぜホルムズ海峡の封鎖がここまで怖いのか——石油と経済の深い関係
「戦争が起きると市場が下がる」というのはなんとなく分かる気がします。
では、なぜホルムズ海峡の封鎖がそこまで世界を揺るがすのでしょうか。
ホルムズ海峡とは、ペルシャ湾とオマーン湾の間にある、幅がわずか数十キロメートルという細い海峡です。
しかし、ここは世界の石油供給の生命線となっています。
北側がイラン、南側はアラブ首長国連邦がある小さい海峡、
ここで世界で消費される原油の約2割がこの海峡を通過していると言われています。
つまり、戦闘が起こりここが封鎖されると、世界中の石油の流れがせき止められます。
石油が届かなければ石油が使えない。
原油価格が上がると、ガソリン代が上がる、物流コストが増える、電気代も上がる。
全てのものがインフレしていきます。
原油が不足しているため、プラスチックや化学製品、さらには稼働する工場の油など、物が作れないという状況も出てきます。
スーパーで買い物をするとき、ガソリンスタンドで給油するとき、私たちの日常生活のあちこちに、中東の一本の海峡が影を落としているわけです。
これが、投資家が「怖い」と感じる理由です。
まとめ
恐怖指数(VIX)は、目には見えない投資家の心理を数値化した、非常にユニークな指標です。
今の25前後という数値は、平常時よりは高く、かつてのリーマンショックやコロナショックほどの極限的な恐怖ではない。
ただ、状況はまだ流動的です。
ホルムズ海峡の封鎖が続く限り、インフレ圧力と金利上昇の懸念は消えません。
恐怖指数が高い時期は、投資家が慌てて動きがちです。
しかし、過去のデータを見ると、VIXが高水準の後に下落し始めた局面では、その後の市場が長期的に回復しているケースが多いことも事実です。
「みんなが怖がっているときこそ、冷静でいられるかどうか」が、長期投資において問われる場面かもしれません。
とはいえ、これはあくまで投資判断の参考として恐怖指数を活用するための話です。
自分のリスク許容度や資産状況に合わせた判断が、何より大切です。
慌てず、焦らず。
まずは状況をしっかり把握することから始めましょう。