「お金は銀行に預けておけば安心」。
そう思っている人は、日本にまだまだたくさんいます。
実際、親にそう教わった、という人も多いんじゃないでしょうか。
でも正直に言うと、その「安心」は現在、少しずつ静かに音もなく削られています。
投資に失敗したわけでも、詐欺にあったわけでもない。
ただ、銀行に預けていただけなので、額は変わらないけれども。
今回はそんな「とりあえず貯金」の落とし穴を、できるだけ難しい話を抜きにして整理してみます。
ちゃんと知った上で選んでほしいためです。
なぜ日本人はこんなに現金が好きなのか
日本人の「現金信仰」は、なにも根拠のない思い込みではありません。
ちゃんと歴史的な理由があります。
1990年代のバブル崩壊。 2008年のリーマンショック。
株や不動産に投資していた人たちが、資産を大きく失う場面を、多くの人がリアルタイムで目撃してきました。
「投資は怖い、現金が一番」。
そういう結論になるのは、ある意味で自然なことです。
さらに、その体験をした親世代が子どもに「貯金しなさい」と教える。
お金の使い方を覚えなさい、とかましてや投資しなさいなんて親はまず聞かないですよね、どちらも大切な事ですが。
価値観は世代をまたいで引き継がれていきます。
ただ、少し立ち止まって考えてみてほしいのは、その「安全」という感覚が、今の時代にも本当に当てはまるかどうかです。
時代が変わると、正解も少しずつ変わることがあります。
これは、親世代を否定したいわけじゃなくて、環境が変わったという話です。
インフレって、つまりどういうことか
「インフレ」という言葉は聞いたことがあると思います。
ざっくり言うと、「同じお金で買えるものが減っていく現象」です。
もう少し身近な例で考えてみましょう。
コンビニのチョコレート、昔は100円で買えたものが、今は150円になっている。
缶コーヒーも、牛丼も、宅配ピザも、気づいたら値上がりしている。
そういう経験、最近増えていませんか。
あれがインフレです。
ポイントは、あなたの銀行口座にある100万円という「数字」は変わらないということです。
でも、その100万円で買えるものの量は、じわじわと減っていく。
わかりやすく極端な例を出すと、10年前に100万円で買えたものが、10年後には110万円ないと買えなくなっていたとします。
そのとき、銀行に預けっぱなしの100万円は「数字は100万円のまま」でも、実質的には90万円台の価値しか持てていないことになります。
これが「じわじわ損している」という意味です。
派手に減るわけじゃないから気づきにくい。 でも確実に、静かに、削られています。
日本の銀行の普通預金金利はほんのわずかで、インフレの速度にはとても追いつきません。
預けているだけでは、事実上、目減りしている。 これは個人的な意見というより、数字として起きていることです。
では、貯金はやめるべきなのか
ここで「じゃあ全部投資に回せばいいんだ」と思ってしまうと、それはそれで危険です。 貯金には、ちゃんと貯金にしかできない役割があります。
たとえば、突然リストラにあったとき。 病気やケガで働けなくなったとき。
そういう「まさか」のときに、すぐに動かせる現金がなければ、生活が一気に苦しくなります。
一般的に「生活費の3ヶ月から6ヶ月分」は現金で持っておくのがいい、と言われています。
これは「生活防衛資金」と呼ばれるもので、投資に回すお金とは別に確保しておくべきものです。
ここは貯金でいい。 むしろ、貯金じゃないといけない部分です。
問題は、その防衛資金を超えた分まで、全部銀行に寝かせてしまうことです。 必要以上の現金は、インフレにやられるだけです。
「とりあえず全部貯金」という状態が、じわじわと損を生んでいます。
防衛資金を確保した上で、それを超えた部分をどう持つか。
そこを少し考えるだけで、お金の未来は変わってきます。
難しいことをしなくていい。
インデックス投資のような、シンプルな選択肢から検討してみるだけで十分です。
まとめ
貯金は「安全」なのではなく、「安心」のためにあるものです。
心の平穏を保つために現金を持つことは、まったく悪いことじゃない。
ただ、「貯金しているから大丈夫」という感覚だけで止まってしまうと、気づかないうちにインフレに追い越されます。
お金の価値は、何もしなくても動いています。
動かさないことが、実はリスクになっている時代です。
まず生活防衛資金を確保する。 その上で、余剰分の使い道を考える。 たったそれだけのことが、長い目で見ると大きな差を生みます。
怖がる必要はありません。 でも、知らないままでいるのは、もったいない。