イランの中東情勢の懸念から、株価が乱高下しています。
しかし、今アメリカとイランの一時停戦が発表されました。
その瞬間、市場は水を得たかのようにぐんぐん上昇を続け、気づけば過去最高値を付けることになりました。
日経平均なんて過去最高の6万円に近づく勢いです。
「相場が怖くなって、いったん売ってしまった」
なんて声を、最近よく聞くようになりました。
ニュースは暗いし、チャートは崩れているし、このまま持ち続けていいのかと不安になるのは、ごく自然な感覚。
でも、そんなあなたに売らない選択肢を与えるために、今日はひとつだけ、知っておいてほしいことがあります。
投資の世界には、「稲妻が輝く瞬間」という考え方があります。
簡単に言うと株式市場の年間リターンのほとんどは、ほんの数日間の急上昇に集中している、という事実があります。
その数日を逃すだけで、長期リターンは大きく変わってしまう。
では、その瞬間はいつやってくるのか。 そして、どうすれば逃さずにいられるのか。
今日はそこを、一緒に整理していきたいと思います。
稲妻が輝く瞬間とは何か
市場の急上昇は、ほんの数日間に凝縮されている
「稲妻が輝く瞬間(Lighting Strikes Moments)」という概念は、長期投資の世界でよく語られる考え方です。
こちら、インデックス投資の名著でもある『敗者のゲーム』にも書かれています。
ひとことで言うと、「年間リターンのほとんどは、ごくわずかな日数の爆発的な上昇によってつくられている」ということです。
具体的な数字を見てみましょう。
米国の代表的な株価指数であるS&P500を対象にした分析では、過去20年間(2003年〜2022年)において、最も上昇率が高かった上位10日間を逃した場合、年率リターンが約6%から約2.4%へと大幅に低下するという結果が出ています。
さらに上位20日間を逃すと、リターンはほぼゼロ近辺まで落ち込みます。
20年間で約5,000営業日あるうち、たった10日。
たった10日投資してなかっただけで、3.6%もの利益を逃すことになるのです。
これが「稲妻が輝く瞬間」の正体です。
そして最も重要なのは、その10日がいつ来るかは、プロの投資家にも、AIにも、誰にもわからないという点です。
要は狼狽売りをしてしまった瞬間、株価がV字回復して、気付いた時には既に高値。
高値づかみする勇気がなく市場に資金を投入できない。
そんな感じで逃してしまいます。
最悪のタイミングで売る人が、なぜ続出するのか
稲妻が輝く日は、たいてい嵐の翌日にやってくる
ここで少し、意地悪な事実をお伝えしなければなりません。
稲妻の日は、暴落の直後に集中しやすいのです。
わかりやすい例が、2020年のコロナショックです。
2020年2月下旬から3月にかけて、S&P500は約34%暴落しました。
連日の急落に、多くの個人投資家が耐えきれず、損切りや利益確定の売りを出しました。 「もうダメだ」と感じた人が最も多かったのが、3月中旬のあのころです。
しかし、その直後の3月24日、S&P500は一日で約9.4%上昇しました。
これは、歴史的な急騰のひとつです。
そして同年末には、コロナ前の高値をほぼ回復。
翌2021年にはさらに大きく上昇しました。
つまり「もう耐えられない、売ろう」と思ったその瞬間が、稲妻の直前だったんです。
これは、投資家が愚かだということではありません。
急落局面ではネガティブなニュースが連日続き、感情的に「売り」を選ぶのは、ある意味で非常に人間らしい反応です。
ただ、その判断が結果的に、最も大切な瞬間を逃す原因になってしまっている。
そこが、投資の難しさのひとつだと思います。
では、どうすれば「稲妻」を捕まえられるか
答えはシンプル。「市場にい続けること」だけ
ここまで読んで、「じゃあ、稲妻が来るタイミングを予測できれば最強じゃないか」と思った方もいるかもしれません。
残念ながら、それはほぼ不可能です。
世界中の機関投資家も、クオンツと呼ばれる数学の天才たちも、AIを使った巨大ファンドも、市場の急騰タイミングを安定して予測することはできていません。
個人投資家がそれをやろうとするのは、雷が落ちる場所を毎日ピンポイントで当てようとするようなものです。
では、どうすればいいか。
答えは、拍子抜けするほどシンプルです。 「市場にい続けること」です。
稲妻がいつ落ちるかは予測できない。 でも、雷雲の中、雷が落ちやすい場所にじーっと待っているだけ、そうすれば稲妻を見られる確率は自然と高まります。
それがインデックス投資を積立で続けるということの、本質的な意味です。
これができるからインデックス投資はメチャメチャ強い。
毎月一定額をコツコツ積み立て、暴落が来ても売らない。
これは「忍耐が必要な修行」ではなく、「稲妻を受け取るための正しいポジショニング」です。
考え方をちょっと変えるだけで、積立継続の見え方が変わってくるのではないでしょうか。
今ある暴落は今後さらに起こり得る暴落の練習のため
今回のイランの石油ショックでは、株価が約10%下落しました。
10%です。結構な額にみえるかもしれませんが、
過去のリーマン・ショックでは、資産が半分になった人も多くいます。
世界恐慌の時なんて、資産が3割にまで減りました。
そんな、今後起こり得る暴落に備えて、小波を受け止めながら進む必要があります。
それらの暴落に比べれば今回の10%はただの調整。
それも、数カ月起きに来る調整という感じです。
今後来る大きな波にも負けないためにも、こういった小さな波をたくさん経験して、徐々に慣れて行く必要があります。
まとめ
稲妻が輝く瞬間は、予告なく来ます。
暴落の翌日かもしれないし、誰もが諦めかけたその朝かもしれない。
そして、その瞬間に市場にいない人には、何も届きません。
投資を続けるということは、値動きに耐えることではありません。
稲妻が落ちる場所に、居続けることです。
相場が怖い日も、ニュースが暗い日も、口座を見たくない日も。
それでも淡々と積み立てを続けている人が、長い時間をかけて報われていく。
投資の本質は、予測でも分析でもなく、「居続ける」という、ただそれだけなのかもしれません。
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