「あのときグーグルの株を買っていれば……」
そう思ったことのある人は、少なくないはず。
あるいはアマゾン、あるいはメタ。
上場直後に買っていた人たちはその後、資産を何倍にも増やしました。
いま、投資の世界でそれに匹敵するかもしれない出来事が起きようとしています。
それが、スペースX(SpaceX)のIPOです。
2026年6月12日、スペースXがナスダック市場にティッカーシンボル「SPCX」として上場する予定です。
IPO時の企業価値は1兆7,500億ドル(約280兆円)とも言われており、実現すれば史上最大のIPOとなります。
「でも、IPOってそもそも何?」
「スペースXって、ロケット飛ばしてる会社でしょ?」
そんな方のために、基礎からしっかり解説しようと思います。
IPOとは「株の初登場イベント」のこと
IPOとは、Initial Public Offeringの略で、日本語では「新規株式公開」と呼ばれます。
ものすごくざっくり言うと、これまで非公開だった会社が、証券取引所に初めて上場し、誰でも株を買えるようになること、です。
今までは、その会社の知り合いとかお金を持っている人とか、一部の人しか株を買えなかったのが、公開することで誰でも購入可能になるという事です。
出資してもらう代わりに株式を渡し、会社が成長すれば株の価値も上がる。
投資家にとっては「早めに買えるほど有利」になる可能性があります。
ただし、ここが大事なポイントです。
IPOで株を購入できるのは、上場前に申し込んだ人だけ。
しかも抽選になることがほとんどで、当選するとは限りません。
恐らくは、今回のスペースXもほしい人は引く手あまた。
そのため、抽選になり、一部の人しか購入できないといった風になるでしょう。
上場後は誰でも市場で買えますが、そのときにはすでに価格が跳ね上がっていることも多い。 それが、IPOが注目される理由のひとつです。
ロケットの再利用が、すべての起点だった
ここで、スペースXってどんな会社?っていうところを紹介します。
ペイパルやテスラを創業したイーロン・マスクの会社という事は知っている人も多いと思いますが、事業が多角的になっているので、彼の仕事のうちこれはどこの会社?と思う人も多いはず。
スペースXは、火星の植民地化を可能にするための宇宙輸送コストの削減を目的に、2002年にイーロン・マスクによって設立されました。
最初期は資金難に苦しみ、会社消滅寸前まで追い詰められた時期もありました。
しかしそれでも、マスクはあきらめませんでした。
転機となったのが、ロケットの「再利用技術」です。
従来のロケットは使い捨てが当たり前でした。
一度打ち上げたら、機体はそのまま海に落として終わり。
なのでそのたびに莫大なコストがかかっていたわけです。
スペースXは、世界で初めて商用ロケットの再使用を成し遂げたことでも知られています。
ファルコン9ロケットは2015年に初の垂直着陸を達成した後、2017年からは実際に回収したロケットが再使用されており、既存の使い捨て型ロケットと比べて半分以下のコストでの打ち上げを実現しています。
打ち上げたロケットが逆噴射をして定位置に着陸する、そんな事を可能にしました。
コストが劇的に下がり、打ち上げ頻度が爆増しました。
2025年の打ち上げ回数は170回、これは年々増加しています。
そして、この打ち上げ能力を土台に花開いたのが、衛星通信サービスの「スターリンク」です。
2026年3月時点で、軌道上に約9,600機の衛星を展開し、164の国と地域をカバー、有料加入者数は1,030万人を超えました。
もはや「ロケット会社」という表現では収まらない規模です。
さらに、2026年初めにはAI企業「xAI」と経営統合。
現在は衛星通信サービス「スターリンク」やAI関連事業も加わり、宇宙・通信・AIを組み合わせた巨大インフラ企業として見られています。
日本に住んでいたらあまり感じることはないかもしれませんが、まだまだ携帯の電波が届かない地域というのはたくさんあります。
そんな中、スターリンクを持っていたら、世界中どこでお手軽な価格で衛星インターネットができるという事を可能にしたので、これは革新的な事でした。
2025年の全体の売上は186.74億ドル(約2兆9,900億円)。
その成長速度は、多くの投資家を驚かせています。
史上最大のIPOが、個人投資家に開かれた
では、このIPOの何がそんなにすごいのか。
まず規模が桁違いです。 IPOによる資金調達額は750億ドルから800億ドル規模に達し、2019年に上場したサウジアラムコの約290億ドルを大きく上回り、史上最大のIPO案件となります。
今回のIPOは個人投資家への割当比率が最大30%になる、という報道もありました。
通常、上場企業がこの層に割り当てるのは5%から10%程度です。
3倍の個人投資家枠。 しかも日本からも参加できます。
楽天証券とSBI証券は5月27日、スペースXをIPO銘柄として取り扱うと発表。
日本の個人投資家は、両社を通じて新規公開株を公開価格で抽選により申し込めるようになります。
新NISAの成長投資枠の対象となります。
では、応募するメリットとデメリットを整理しておきましょう。
メリットは、公開価格で株を取得できる可能性があること。
上場後に価格が上昇すれば、その差額が利益になります。
グーグルやアマゾンの初期投資家と同じポジションに立てる、かもしれない。
ただし、デメリットも無視できません。
目論見書によると、2025年の売上は約187億ドル、純損失は約49億ドルでした。 売上は伸びているのに、大きな赤字が続いています。
「今後14年間の収益成長を織り込んだとしても、スペースXの評価額は米国の時価総額上位企業に比べて割高です」という分析もあります。
マスク氏は同社の普通株12.3%と、1株につき10議決権を持つクラスB株の93.6%を合わせ、全体の議決権の85.1%を握っています。
つまり、一般株主の発言力はほぼゼロに近い。
経営には参加できないと思っていた方がいいでしょう。
そして上場直後の株価は大きく動くことが多く、上場直後はボラティリティが激しくなる可能性が極めて高いため、十分な注意が必要です。
まとめ
「史上最大のIPO」という言葉は、正直、心をざわつかせます。
でも、焦って飛び込む必要はありません。
スペースXが本当に大きな企業であることは事実です。
ただ、評価額が現実の業績をはるかに超えている点や、経営支配がマスク氏一人に集中している点は、慎重に考える材料になります。
IPOに応募するかどうかは、あくまで自分の判断で。
ちなみに、インデックス投資をしている方にはこんな話もあります。
オルカン(全世界株式)は上場から10営業日、NASDAQ100は15営業日後にスペースXが組み込まれる可能性が高いとされています。
積み立てを続けているだけで、自動的にスペースXの株主になれるかもしれないです。
個別株を買うか、それかインデックスで持ち続けるか、どちらにせよ多くの人が保有する、何かしら関係のある銘柄になりそうな予感はします。