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流行りの「モメンタム投資」。「バリュー投資」はもうオワコン?

「上がっている株を買え。」

 

投資の世界では昔から「安く買って高く売れ」というのが鉄則とされてきました。

でも最近、それとはまったく真逆の発想が注目を集めています。

それが「モメンタム投資」と呼ばれています。

 

AI関連株の急騰、NVIDIAの株価推移、そういったニュースを目にするたびに「乗り遅れたかな…」と感じる方も少なくないはずです。

「やっぱりバリュー投資なんて古いの?」「今はトレンドに乗らないとダメ?」 そんな疑問が頭の中をぐるぐると巡ってしまう。

今回はモメンタム投資とバリュー投資の違いを整理しながら、結局どちらをどう考えればいいのかについて、一緒に考えていきたいと思います。

「上がっているから買う」という投資戦略の正体

 

モメンタム投資とは、ざっくりいうと「勢いのある株に乗っかる」戦略です。

専門的には「価格モメンタム」と呼ばれる概念で、過去に株価が上昇してきた銘柄は、しばらくその上昇トレンドが続きやすい、という市場の傾向を利用しています。

「上がってるから買う」って、なんだか投機みたいに聞こえますよね。

でも実際には、機関投資家が大規模に使っている、れっきとした投資手法のひとつです。

 

たとえるなら、お気に入りのラーメン屋さんに毎日行列ができていたとします。

「人気があるんだから、しばらくは行列が続くだろう」と判断して、そのお店の株を買うようなイメージ、といえばわかりやすいでしょうか。

 

最近でいえば、AI関連株がまさにその代表例です。

モメンタム戦略を採用するETFは、2026年に入ってから20%以上上昇しており、同期間のS&P500の上昇率を大きく上回っています。

その背景として、AI関連銘柄の上昇によってここ数年は市場の勝ち組銘柄と負け組銘柄の差が大きく広がっており、この戦略はその流れに乗って成果を上げています。

波がある。 乗れれば大きな利益になる。 それがモメンタム投資の魅力です。

 

「いつ降りるか」が命取りになる、という現実

ここで少し立ち止まって考えてほしいのが、モメンタム投資の「怖い側面」です。

バリュー投資は「割安なものを買う」という発想なので、理屈としては比較的シンプルです。

企業の業績や資産と比べて株価が安すぎるなら買う、というだけです。

でも、モメンタム投資で最も難しいのは「いつ降りるか」という判断です。

 

NVIDIAを例にとってみましょう。

NVIDIAは最近の決算が報道されると株価が上昇するものの、その後に「時間外」で株価が下がる、という動きが繰り返されています。

高いバリュエーション(企業価値の評価)が設定されており、成長の進捗が期待に届いていないのではと市場に評価されているためだと考えられます。

つまり、好決算なのに株価が下がる、という不思議な現象が起きているわけです。

これはモメンタム投資の本質的なリスクを示しています。

市場の「期待」が積み上がりすぎると、現実がどれだけ良くても、「思ったほどじゃなかった」と判断されて売られてしまう。

 

AI半導体株相場を支えているのはハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)による巨額のデータセンター投資ですが、それがインフレを助長し金利上昇につながることで、成長株の上値を抑えるという二律背反をはらんでいます。

 上昇の波に乗るのは気持ちいいのですが、波が反転したとき逃げ遅れると、そこまでの利益が一気に消えてしまうリスクがあります。

バリュー投資の「バリュートラップ(割安のまま放置される銘柄)」も厄介ですが、モメンタム投資の「反転リスク」も同様に無視できません。

 

どちらの戦略にも、うまくいかないケースはある。

そのことは、しっかり頭に入れておく必要があります。

バリュー投資は終わっていない。インデックスはどちらも取り込んでいる

 

では、バリュー投資はもう時代遅れなのでしょうか?

結論から言うと、そうは言いきれないと思います。

2021年以降、日本株ではバリュー優位の状況が続いていますが、これは日本にも高インフレが定着しつつあることが背景にあると考えられています。

インフレ期には金融株や資源関連株など、バリュー株のパフォーマンスが改善しやすい傾向があります。

 

つまり、モメンタムが有利な局面もあれば、バリューが有利な局面もある。

それが最近はAI関連銘柄の影響でモメンタムの方が勢いがあるように見えている事もある。

どちらが絶対的に正しいというわけではなく、相場の環境によって変わるというのが実態です。

 

そして、ここが個人投資家にとってとても大事なポイントなのですが、オルカン(全世界株式インデックス)やS&P500のようなインデックスファンドは、意図せずこの両方の要素を自然に内包しています。

時価総額加重という仕組み上、上がった株は自動的にウェイトが増え、結果としてモメンタムの恩恵も受けています。 同時に、割安に放置されている銘柄も組み入れられているため、バリューの要素も持っています。

市場が急激に上昇している時期にはモメンタム投資が有効な場合がある一方、市場が低迷している時期や不確実性が高い時期にはバリュー投資の方がリスクを抑えながら安定したリターンを得られる可能性があります。

どちらかに全賭けするより、両方の恩恵を自然に受けられる仕組みに乗っておく、というのが、個人投資家にとっては現実的な選択肢の一つではないでしょうか。

 

まとめ

流行りの戦略は、いつも「乗り遅れた感」を連れてきます。

モメンタム投資は確かに面白い戦略ですが、「いつ降りるか」という出口の判断が伴わなければ、後から振り返って「あのとき売っておけばよかった」という後悔になりかねません。

バリュー投資が古くなったわけでも、モメンタム投資が常に正しいわけでもない。

大切なのは、どちらかを完璧に当てにいくことよりも、自分が理解できる範囲で、長く続けられる戦略を選ぶことだと思います。